街ゆく人に声を掛けて、モノについてあれこれ尋ねる連載『things.』。決して飾らないけれど、人それぞれにお気に入りのモノがある。第32回目はチェコのズリーンという街で出会った大学生カップルの Eliška さんと Vladimír さん。
- Name:Eliška、Vladimír
- From:チェコ
- Age:秘密
- Works:大学生
- Instagram:非公開
― 今、何をしているの?
Eliška:今日は彼をわたしの生まれ故郷の『Zlín(ズリーン)』に連れてきたの。ここはチェコの中でも建築が特徴的なのよ。彼は建築学部だから、この街の建物に興味を持っていたから。
Vladimír:Zlín の建築は面白いね。この街は Bata(バキャ、靴メーカー)が再開発した街で、街全体が同じような建物で構成されているんだ。
チェコの建築は、ルネサンス様式やアールデコの建造物みたいに装飾が豪華な建物が多いんだけど、この街にある建物は装飾は最低限で、実用性を重視しているんだよ。
これはファンクション様式って言うタイプなんだ。アメリカとかに多いんだけど、Bata の創業者は新しいモノが好きで、アメリカから取り入れたみたいだよ。
まるで大学のように同じ建物が立ち並ぶが、ここは Zlín の中心街。映画館やショッピングセンターなんかもこうした建物の中に並んでいる。
― そうなんだ。二人とも建築が好きなんだね
Eliška:わたしは建築学部じゃなくて、実は英語を専攻しているの。たから建築への興味も無くはないけど……多分普通だわ。
― ところでフィルムカメラもクールだね!
Eliška:ありがとう。これは MINOLTA X-370 ね。まだフィルムカメラを始めてからそんなに時間が経ってないからよく分からないけど。
― そうなんだ。前にインタビューをした人もフィルムカメラを使っていたよ。フィルムカメラの魅力を教えて!
Vladimír:今はデジタルカメラで何枚でも写真が撮れてしまうけれど、やっぱり1枚ずつ撮影する重みというか……大事に撮れるのが面白いね。今、そういった意味からチェコではフィルムカメラが流行っているんだよ。
Eliška:私は昔からフィルムカメラに興味があったわけじゃないの。大学に入学したときに彼に教えてもらって、そこからフィルムカメラを持ち歩くようになったわ。
外国人の友達ができるなんて嬉しいわ。1枚撮ってもいい?
――
チェコの小さな田舎町 Zlín に訪れた際に、カメラがきっかけで話しかけてもらった。チェコの郊外にはアジア人はほとんど見かけないので、珍しかったのかもしれない。彼らは二人で楽しそうに建物を見て周っていたけれど、同じようにフィルムカメラをぶら下げているチェコ人も多数。古くてヨーロッパ的な建物が多いチェコでは、こうした新しい様式の建物がインスタ映えのスポットになっているのだろうか。